遅ればせながら、改めて男子体操
道楽、道楽と思いつつ、基本的にはスポーツ、特に女子サッカーのことばっかり
書いているような気がする。(←いや、気じゃなくって、ほんとだって)
ですが、実は、アテネ五輪で、私がもっとも感動したのは、
男子体操の団体決勝だった。
多くの方も感動されているようですな、当然ですけど。
Shuさんという方や、
かずちんさんという方、
ふぐ屋さんという方、
shinichi(しんいち)さんという方も、
そのほか多数多数。
さて、この試合を見ながら思い出したのが、
忘れもしないモントリオールオリンピックの男子体操。
初めて、ちゃんと意識して見たオリンピックだ。
(ミュンヘンはかすかな記憶しかなかった)
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当時は、団体は6人全員が演技し、上位5人の得点がチーム得点となった。
そして、初日に規定、二日目に自由があり、しかもこの両方の得点の合計で
総合順位が決まったものだった。
当時、五輪4連覇、世界選手権もあわせると9連覇していた日本男子体操代表。
当時は、ソ連とのマッチレース。
通常、規定演技で大きくリードし、自由では、逆転を狙い焦って高得点を取るために
大技にチャレンジしてくるソ連をかわす、というのが勝ちパターン。
しかし、この時は、エース笠松が病気で、補欠だった五十嵐選手が繰上げで団体に
登場。さらに、規定で0.5点と、僅かながらもソ連にリードをゆるすという大ピンチ。
さらに、悪いことは重なるもので、たしか跳馬だったと記憶するが、藤本選手が
足を痛め、それ以降の競技を続行できなくなった。
つまり、普通だったら6人中1人は失敗しても、他の5人が成功すればよかった
ところ、ここから先、日本は1人も失敗できなくなったのだ。
もちろん、今大会のレギュレーションは、団体登録選手の6人から、3人が各種目を
演技し3人の得点がそのまま加算されると言う、1人も失敗できない状況という
ことでは同じなのですが、当時は、競う相手は一人失敗しても大丈夫な訳ですから、
圧倒的に不利な状況です。
しかし、そこを驚異的な精神力(としか、表現できない)で、各選手ふんばって、僅差
でソ連に追いすがる。
そして最後の競技は、これまた鉄棒。
先にリードするソ連。
しかし、緊張のためか、安全に行こうとするのか、点がさほど伸びない。
だが、最後にエース、アンドリアノフ。
ここで、9・9とか出されるとやばい。その実力は十分ある。
大逆手車輪とかシュタルダーとか当時の定番技(当時離れ業というのは、ほとんど
無かった)を織り込み、無難な演技で、最後下り技!
着地!
あ、こけた。それも、背中までマットにつけるような大失敗。
続いて日本。
とにかく、本当に、1人もミスできない状況で、
監物の大伸身飛越一回ひねり下りとか、五十嵐の伸身二回宙返り下りとか、
すべての選手がパーフェクト。
そして最後が塚原(父の方ですね)の月面宙返り下り。
得点が出た! 9・90!
僅か0.40差ながらも、完璧な逆転劇。
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これこそが、私のオリンピック原体験だったのです。
ね、状況が、まさに今回のアテネに似ているでしょ。
だからこそ、最後の鉄棒での、各チームの演技が始まったとき、ほんとに
最初から鳥肌ものだったのです。
アンドリアノフのように、ルーマニアの選手が落下した。
アメリカも、点が伸びない。
さぁ、日本。
もうここからは、椅子になんか座っていられなかった。
見ているだけの私が、これだけ緊張しているのに、
この選手たちの落ち着きはなんだ?
自分の力を信じきった、澄んだ表情。
緊張で押しつぶされてきたここ数回の多くの日本選手たちとはまったく違う。
富田が着地に入る前に、もう結果は見えた。
着地と同時に、テレビの前で私も両手を突き上げた。
すばらしい~、すばらしい、すごい。
すまん、回りの家の方々。
さて、実はこれには続きがある。
続く男子個人総合、
モントリオールの際、出場した日本選手たちは、信じられないミスを連発し、
完璧な演技をしたアンドリアノフに個人総合チャンピオンの座を譲る。
そのときのアンドリアノフは、インタビューで、日本人選手の集中力の無さに
よるミスを、団体自由の時の同じ選手とは思えないと語っていた。
そして、今回、アテネ五輪。
米田、富田とも、集中力が団体の後半とはどうも違うように感じた。
同じようにミスを出してしまい、残念ながら、個人総合のチャンプは逃す。
う~む、ここまで相似形になるとは。
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