「ヴォーリズの建築」山形政昭
「ヴォーリズの建築―ミッションユートピアと都市の華」
山形政昭著、創元社、1989年11月発行
価格:¥2,447 (税込)
書籍データ:単行本: 340 p ; サイズ(cm): 19 x 13
以前に紹介した、住吉山手の小寺邸の設計者である
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏。
明治38年、24歳で来日し、現在の滋賀県立
八幡商業高校(当時は、滋賀県立商業学校)の
英語教師として赴任。
しかし、熱心にキリスト教を布教したことに反発を
受けて、2年余りで学校を去ることを余儀なくされる。
しかし、逆にそれを機に、事業を通じて、キリスト教の
布教運動を展開していくこととなる。
米国の商品の輸入販売、布教の核でありメンソレー
タムの販売元としても知られる近江兄弟社の経営、
病院の経営など、日本人に西洋の生活を啓蒙的に
紹介していくとともに、その背景であるキリスト教の
布教を図ったわけである。
中でも、日本人に対して、キリスト教をふまえた西洋
の生活を、可視的に提供したのが、W.M.ヴォーリズ
建築事務所と通じでの、数多くの建築設計である。
本書は、そのヴォーリズの数多くの設計作品を、
網羅的に紹介する、最良の書であろう。
ここで紹介されている建築を見ていると、日本全国の
私立のミッション学校が、どれだけヴォーリズの手に
なっているのか、驚くのではないだろか。
日本人の思うミッション建築の共通イメージ(関西
学院のキャンパスが象徴的)が、実は一人の建築家
の手によるものであることが、理解できるだろう。
ただ、住宅作品は、本書には紹介されていないの
で、また別の機会に、ヴォーリズの住宅に関する
書籍に触れてみたい。
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