この時期だからこそ、『定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』
JR西日本の尼崎での列車事故と、まさしく時を
あわせたかのような恐ろしいような偶然のタイミングで、
文庫化され、いま店頭に平積みされている。
『定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』
(新潮文庫)
三戸祐子著
2005年5月発行
税込価格 : \620
基本的な研究姿勢は、カルチュラル・スタディーズ。
いま、日本という文化圏において、当たり前と思われ、
実践されている、そして実は他の文化圏とはズレの
ある、鉄道の「定刻発車」という行為の、その背景と
なる価値観や社会的環境・習慣と、それを実現化する
社会システムを詳細に著述していく。
特に、本書で刺激的なのは、表題の「定刻」だけ
ではなく、首都圏や京阪神エリアでの列車の
おそるべし密度と速度の中で「定刻」を維持せざるを
得ない社会環境について触れた第3章だろう。
ここの見直しをこそしなければ、今回の事故は、
またどこかで起こってしまうかもしれない。
JR西日本にのみその責を負わせて、社会、世間、
ユーザーの鉄道に対する過剰な要求について
自覚的にならなければならない。
著者本人による書籍紹介はこちら。
<本日のTB先>
本書を紹介されている方々は以下のとおり
石臼挽き茶葉の苦みさん
書店員失格さん
快走ARUKAKATさん
特に詳細に書評をされている
書評という名の自己主張さん
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