スポーツチームのビジネスモデルを、リバプールを例に見てみよう(5)
さて、最後は、
⑤“Premier League; Match-related”です。
(これも、1ポンド=200円で換算してみます)
これは、基本は入場料収入。
さらに、ゲーム時のスタジアムでの飲食物の売り上げも
含まれています。
2003年度は2128.8万ポンド(約42億円)。
2004年度は2200.5万ポンド(約44億円)。
全体の20%~25%ぐらいを占めている、
②“Premier League; TV revenues”に次いで、大きシェアを
占める売り上げ項目となっています。
ただ、リヴァプールのようなプレミアの人気チームは、基本的
には、ほぼフルキャパシティという状況なので、観客動員を
増加させる、ということはかなりしんどい。
2003年から2004年の伸びは、入場料の値上げによるもの
ということのようです。
ブンデスリーガなんかも、ほとんどのチームがフルキャパシティ
に近いですよね。
もちろん、日本のJリーグでは、浦和、新潟、仙台以外のチーム
は、まだまだフルキャパシティには至っていないので、まずは
観客増で売上増というのが、基本目標となるでしょう。
プロ野球に関して言うと、阪神タイガースは、厳しいですね。
甲子園での観客動員に関しては、かなり上限に近づいていると
思われます。
それ以外のチームは、ジャイアンツ、ホークスあたりもまだ
余地はありますね。
さて、では、フルキャパシティに近いチームはどうするか、
となると、単価の高い客を増やすということになります。
あるいは、入場料以外の副収入をいかに伸ばすか。
例えば、マンチェスターユナイテッドのオールドトラフォード
などは、セレブ向けの個室があって、スタジアム内に設置
してある高級レストランで食事をとり、飲料サービスなんか
を受けながら、個室で観戦、ってなことがあります。
ただ、これは、スタジアムの仕様や経営にチームがかなり
の影響力を行使、というか連携をとれないと、あかんのです
よね。
例えば、大阪ドーム。
ここにはビスタルームっていう、個室席があるんですが、
ここの売上は、基本は大阪ドームに入ってしまう。
K A L A MさんのBlogによると、「契約金は1億円、年間
使用料が1千万円」とのことですが、この金額がそのまま
大阪近鉄バファローズに入っていた訳ではないんですね
(チケット代分は、ドームから球団に支払われているよう
ですが)。
ここらへんが、日本の公的スタジアム設計の際の問題でも
あるかもしれません。
副収入としては、やはり飲食、
いかに、飲ませ、食べされるか、ですが、あんまりアルコール
を飲ませすぎると、ファンが酔っ払って、客席が危ない。
その加減は大事です。
また、事業者はだれか、というのも問題です。
施設側に事業者の決定権を委ねると、チーム側には、あまり
飲食売上からのロイヤリティは入りません。
あと、副収入としては、マンUのオールドトラフォードとか、
バルサのカンプ・ノウに代表される、スタジアムツアーなんて
のもありますね。
これは、意外に参加者も多く、結構な売上になるらしいので
すが、日本の施設の場合、これもあくまでも施設側の収入
で、チームの収入にはならない。
また、ツアーをしたくなるようなスタジアム(それには、スタジ
アム自身の歴史、神話性、さらにはそこを本拠とするチーム
のレジェンドが必要なのです)がないっすよね。
とまあ、リヴァプールのアンニュアルレポートをもとに、スポー
ツクラブの収益についての基本的なデータをまとめてみた。
これをベースに、プロ野球やら、Jリーグやらについて(さらには
ラグビーも?)経営を考えていってみたい。
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