アクセス解析で見てみると、最近、もっぱら「1リットルの涙」や
「視聴率」でアクセスいただいている方が多いようだ。
そこで、関西テレビ/フジテレビの火曜日のドラマ、「1リットル
の涙」⇒「鬼嫁日記」の視聴率推移を見てみた。
(「1リットルの涙」の視聴率⇒「鬼嫁日記」の視聴率)
第1回
関西14.3%⇒19.4%、東京13.5%⇒16.7%
第2回
関西14.7%⇒16.8%、東京15.1%⇒16.6%
第3回
関西14.7%⇒14.7%、東京13.5%⇒15.6%
第4回
関西12.8%⇒13.1%、東京12.3%⇒12.9%
第4回の裏に、「火垂るの墓」(NTV系)実写版があった。
そちらの視聴率は、関西22.0%、東京21.2%。
さすがに、裏の「火垂るの墓」は強かったですね!
「1リットルの涙」4回目の放送は、視聴率がダウンして
います。
さて、その第4回目では、亜也とのデートをすっぽかした
カタチとなったバスケ部の先輩、河本に、けっこう批判が
集まっていますね。
この件も含めて、作劇の視点からと、現実という視点から、
私も少し書いてみたいと思います。
本ドラマは、当然ながら、木藤亜也さんとお母さんの潮香
さんの本を原作としている訳です。
しかし、この2作では残念ながら1クール続くドラマにはな
りにくい。
完全なるドキュメンタリードラマという方法論もあるとは思い
ます(映画の方は、そのニュアンスが非常に強い)が1クー
ル続けるとなると、やはり多様な視聴者が感情移入のでき
る複数の視点での物語りが必要になりますし、物語の広
がりも必要になります。
また、どうしても、最終回に向かってのなんらかの大団円と
いうか、クライマックスに向かう動きが必要ですし、最終回
を越えて未来へ広がるイメージが必要です。
亜也さんは、「せいいっぱい生きたのだから、(たとえ寝た
きりになってしまっても)幸せだった」と、お母さんは言って
おいでです。
たしかに、彼女が進行していく病気に負けず、折れようと
するココロを奮い立たせて、それでも前向きに生きようとす
る姿勢は素晴らしいものです。
原作本については、亜也さんのこの姿勢にこそ、私たちは
勇気をもらい、今の自分を振り返り考えさせられ、感銘を
受ける訳です。
しかし、やはり映像ドラマとしては、身体機能が衰弱してい
く一方向でエンディングに向かうというのは、やはりつらい
ものがあります。
目に見える画像として見ると、クライマックスに向かうに従っ
て、どんどん動きがなくなってきてしまいます。
映像ドラマというは、究極、やはり動きですから、亜也にの
み焦点を当てると正直演出のしようがなくなります。
(最近のドラマは、クライマックスをすべてせりふで処理を
する場合も多い=『女王の教室』もそうでした=のです
が、本来、映像ドラマというのは、映像の動きによって、
伝えたいことを視聴者に感じてもらうものです)
そこで、亜也の“前向き”なココロを引き受けて、引き継いで、
前向きにアクションをおこしていく存在が必要となります。
それが妹の亜湖であり、遥斗なのだと思います。
そして、実際にも、亜也さんの妹さん、弟さんは、医療・介護
関係のお仕事につくなど、亜也さんのココロは引き継がれて
いる訳です。
ドラマの演出・脚本として、主人公の影響を受けて、マイナス
からプラスに転化する、という存在。
(ただ、妹さん、弟さんは、最初からマイナスだった訳ではな
いようです。最初から、温かく、やさしく、幼いながら、亜也
さんをサポートしていたそうです)
これは、ストーリーを発展させ、未来へつなげていくために重
要ですし、ある種の定番パターンではありますが、やはり感
動を呼び起こされます。
亜也本人の病気との戦い、その中でも折れないココロの表現
(沢尻エリカの好演!)も、もちろん大切な要素です。
しかし、単に、闘病者である亜也ががんばったね、かわいそう
だね、すごいね、強いね、で留まるのではなく、それ以上に、
亜也のココロが、周囲の人にどういう影響を与え得るのか。
亜也のココロを感じ取り、理解し、そこから得た何かで自らの
道を開こうとする、周囲の人の感受性とそれに基づく思いの力。
今回のドラマは、こここそが焦点ではないか、と思います。
今後の亜湖と遥斗の成長/変化に注目です。
また、これは、対照的な行動を取ってしまう人を対置すること
で、よりクリアになる訳です。
みんながみんな、同じようにプラスの変化をする、いや最初っ
から温かいままなんてことになると、そこにはリアリティもなけ
れば、ぬるいままで感動も薄らぎます。
そういう意味では、亜也の病気を今の段階で受け止めきれな
いバスケ部の先輩の河本や、はやしたてる男子部員などは、
作劇的に必要な存在なのでしょう。
彼らがいるからこそ、遥斗の“優しさ”が、よりクリアに感じられ
たわけで。
また、現実を考えても、河本、彼、まだ高校生でしょ。
オレのこと好きらしい、ちょっといいなぁという程度の女の子が、
「訳のわかならい」けっこう重そうな病気だっつうたら、そりゃ
逃げ腰になるでしょ。
重たいよ、下手にちゃんと付き合ったりしたあとの責任なんか
を考えたら。
背負いきれないよ。
高校生の男の子がそう思っても、全然不思議じゃない。
そういう意味ではある種のリアリティを与えていて、ドラマに
とって必要な気もする。
もちろん無神経だし、ひどい行動だけど。
おれが、この立場だったら、どうするかなぁ?
自信ないなぁ…。
さらに、担任の西野先生も、同じように亜也をサポートしきれ
ない社会の象徴としての役割を与えられるのだろうな、と想
像できます。
遥斗の父、芳文も。
家族としてサポートしてくれる潮香や瑞生、そして水野先生
と対置される存在として。
ドラマの没入していると、おそらく、西野先生や芳文に対して
腹たって腹たって仕方がなくなるんだろうな。
とは言いつつ、じつは河本もこのままフェイドアウトではなく、
しばらくたつと、遥斗とは違うが、なんらかの変化をおこしそう
な気もしたりして…。
<本エントリーのTB先>
第4話のストーリーをまとめたり、感想をUPされているみなさん。
どらま・のーとさん
つれづれなる・・・日記?さん
たまちゃんのてーげー日記さん
いわぴいのドラマ日記さん
気ままなNotes...さん
The Natsu Styleさん
ぐ~たらにっきサン
文才がなくても描けるドラマ脚本術さん
あずスタさん
伊達でございます!さん
レパードタイガーのドラマ理論(手厳しい意見も)さん
それから、お父様が同じ「脊髄小脳変性症」だという
アンナdiaryさん。
改めて、本当にある病気なんだな、ほんとにこの病気と
闘っておいでのご家族がいらっしゃるんだな、ということ
に、言葉もありません。
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