ALSを発病しながら、訪問介護・看護サービス会社を立ち上げた凄い人
昨日、日本テレビ/讀賣テレビ系列に残った数少ない
報道ドキュメンタリー番組「NNN ドキュメンタリー'06」を見た。
1月22日(日) 25:55~26:25
「前を向いて そして… ある難病患者と家族の日々」
今回は、難病ALS(筋委縮性側索硬化症)を発病した
藤本栄さん(45)とその家族のお話。
ALSとは、筋肉を動かす命令を伝達する“運動神経神経が
冒されることで、筋肉が萎縮していく進行性の神経難病です。
ドラマ「1リットルの涙」で有名になった脊髄小脳変性症
とは、冒される神経部位が違うようですが、症状としては
同じように、手や足をはじめ体の自由がきかなくなり、歩く
こと立つこともできなくなる。さらに次第に話すことも食べる
こともできなくなり、呼吸することさえも困難になってきます。
ですが、他の神経部位は冒されていないので、思考能力、
知性、感覚/触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚、目の動き、
自律筋の心臓、便通、膀胱、性的機能といったものは影響
を受けないそうです。
病気の進行は当然個人差がありますが、発病して3~5年
で寝たきりになり、人工呼吸器を装着しなければ呼吸が
できなくなります。
アメリカではメジャーリーグのスーパースター、
ルー・ゲーリックがこの病気になったことから“ゲーリック病”
とも呼ばれているそうです。
また、イギリスの有名な宇宙物理学者ホーキング博士も
30年来の患者です。
脊髄小脳変性症と同様、残念ながら、原因も治療法も
わかっていません。
一般に40~60歳で発病し、患者は全国で5000人ほど
いると言われています。
トヨタ系列のディーラーで、なかなか優秀な自動車営業
マンだった藤本さんは、37歳で独立してソニー生命の
保険代理店を営み始めました。
しかし、その直後に、当時小学校3年生だったご長男を
相手にサッカーをやっていた時に、突然思う方向にボール
が蹴れなくなった。やがて、足を引きずるようになった藤本
さんが病院で検査を受け、ALSの一種である“運動ニュー
ロン病”という診断が下されました。
そして、しだいに、足だけではなく全身に力が入らなくなり、
入浴や排せつの介護が必要となっていきました。
自力呼吸が困難になった時には、藤本さんは、これ以上、
家族に介護の苦労をかけないためにも、人工呼吸器の装
着に関して、少し躊躇したそうです。
しかし、家族からの生きて欲しいという願いと自らの生き
たいという気持ちで、人工呼吸器をつけ、より前向きに
生きるようになりました。
そして、発声もできず、動かせるのは顔の筋肉だけである
ために、透明の板に平仮名が書かれた”文字盤”を、視線
の動きだけでたどっていくことが、唯一のコミュニケーション
の手段として、前向きに家族や社会と関わっていきます。
もともと明るい性格で、しょうもないギャグを連発していた
らしい藤本さんは、こんな状況の中でも、ユーモアたっぷり
に、文字盤を使って家族とのコミュニケーションをとります。
さらに、日本ALS協会愛知支部長に就任し、患者の
家族らと情報交換をし、ALS患者の支援活動に取り組ん
だり、「1リットルの涙」の木藤亜也さんの主治医であった
山本纊子先生も勤めている藤田保健衛生大学看護学校での
講義を始めたりしています。
番組の中で引用された藤本さんの言葉として
「昔、忙しくて見えなかった世界を、今動けなくなったことで
わたしに見せてくれる。ALSはまんざらでもないです」。
これだけの難病の方が、こういったことを言えるってのは、
ほんとに凄い。
「(脊髄小脳変性症という)病気になったのは、不幸じゃ
ないです。不便なだけ」と言った明日美ちゃんと同様。
そして、なにより凄いのが、寝たきりで介護を受ける側の
自分の経験を生かし、訪問介護・看護のサービスを
提供する会社「アイライフコーポレーション」を立ち上げ、
自ら社長となったこと。
ヘルパーさんや、従業員に対しても、朝礼で文字盤を使って
指示を出したり、自らがモニターとなって新人ヘルパーさん
の研修を進めたりと、藤本さんの細やかさとバイタリティーが
サービスに生かされているそうです。
同じ病気の方に勇気を与える言葉をつづり続け、最後は
献体までを申し出て、人の役に立とうとした木藤亜也さんに
池内亜也。
自分の闘病の苦しみを隠しつつ、いっしょに入院し病気と
闘っている子どもたちを明るく励まして回った猿渡瞳ちゃん。
それに、今回の藤本さん。
みなさん、すごいですよ、ほんとに。
<本エントリーのTB先>
ブログで情報収集!Blog-Headlineの
筋萎縮性側索硬化症(ALS)のエントリにTB
あと、ご自身もALSと闘病しておいでの
ALS、そして、僕の生きる道さんと、
人生いろいろサンの最新エントリーに
TBを差し上げたいと思います。
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コメント
こんにちは♪
TBありがとうございます(^_^)v
この藤本さんに比べたら私なんて足元にも及びませんが・・・。でも、自分らしく前を見つめて生きていきたいって思ってます☆
人生は一度きり。
やり直せませんもんね(^o^)
投稿: style-TK | 2006/01/24 13:13
style-TKさん、コメントありがとうございます。
いや、藤本さんが凄いのはもちろんですが、
blogやサイトを拝見させていただいたのですが、
style-TKさんもすごいですよ。
すごく前向きなエネルギーを感じ取れますよ。
>人生は一度きり。
>やり直せませんもんね(^o^)
うん、うん、そうですね。
軽い言葉になってしまいますが、
頑張ってくださいね。
投稿: 六甲びと | 2006/01/25 22:26
はじめまして。
TBありがとうございま~す。
藤本さんは本当にすごいですね。脱帽です。
ALSは進行の早い病気である中、私は幸いな事にほとんど進行がなく、
全くといっていいほど普通の生活をしています。
私には藤本さんやstyle-TKさんのような行動力はありませんが、
ブログを通じてALSでも進行しない元気な姿を見せていけたらいいなと思っています(^^)
投稿: rumbo | 2006/01/26 01:13
rumboさん、コメントありがとうございました。
罹患していない私からみたら、ALS(あと脊髄小脳変性症)と
いう病気は、なんて理不尽なんだろう、と思えてしまいます。
この病気に罹患してしまった方々の心の痛み、悔しさは、
私の想像などを遥かに超えていることでしょう。
そういった中で、本当に力強く生きていらっしゃる方々に
対しては、もう尊敬、畏敬の念を持つしかありません。
rumboさんも、ブログを拝見したところ、非常に前向きに
明るく生活をされているように感じます。
これからも「ALSでも進行しない元気な姿を見せて」
いただければ、と思います。
今後とも、訪問させていただきます。
よろしくお願いします。
投稿: 六甲びと | 2006/01/30 23:23