興味深い試み、東京都のDUOリーグ
日本スポーツ界の特徴である学校の運動部の弊害
の一つとして、『補欠』という存在があります。
例えば、野球で言えば横浜高校や仙台育英高校、
サッカーでも国見高校や市立船橋、ラグビーなら
佐賀工業とか大阪工大高などの強豪校、名門校の
多くは、それこそ部員が100名もいて、一校で
5軍6軍までできるほどの部員数です。
しかし、2軍以下というのは、練習では球拾い、
公式戦に関してはスタンドでの応援などを強いら
れて、ロクに試合に出場出来ません。
大阪工大高の1年生からレギュラーCTBであった
元木選手だとか、国見高で1年生からエースFW
だった平山選手とポジションのかぶった選手など
は、3年間で何試合経験できたでしょう?
ですが、これら名門校に入学・入部するにはセレ
クションを通らなければならないことも多く、補欠
とは言えども、下手な訳ではあり
ません。
公式試合に出て、真剣勝負を経験し、切磋琢磨す
れば、今の僅かな差で一軍になっている選手より
も伸びる可能性すらあるはずです。
名門校に入る素質豊かな選手
たちの殆どが定期的に真剣勝負
の試合に出場出来れば、選手
の発掘や全体の底上げにも繋がります。
例えば、東京ヤクルトに復帰した高津投手は、広
島工業高時代は2番手だったと記憶していますが、
大学時代にローテーションピッチャーとなり、そ
の実力を開花させました。
本当なら、それだけ部員の多い学校であれば、複
数チームを参加させても良いと思いますが、現在
の日本の大会規定では学校単位で1チームしか参
加することが出来ません。
もちろん、補欠を経験することでの、精神的なな
んらかの成長、というものを100%否定するつもり
はありません。
しかし、本来スポーツとは、それぞれのレベルに
応じて、ギリギリの勝負をかけて、真剣勝負を実
際にプレーすることに意味があります。
プレーしながら、真剣勝負しながらの精神的成長
の方が、スポーツの教育効果としてもはるかに高
いものがあるのではないでしょうか。
で、「DUOリーグ」です。
関西人の私は知らなかったのですが、東京都の
サッカー界で、こんな試みが10年間も続けられて
いたのですね。
DUOリーグとは、文京区・豊島区の高校運動部と
クラブチームによるユースサッカーリーグ。
東京都高体連の第2地区が母体になっているが、
あくまでも私的なリーグとして1996年度より始め
られた。
その設立に当たっては、"チーム"と"選手"しか育
ててこなかった従来の学校運動部への反省から、
"本来のスポーツを取り戻す"こと、"クラブ"と
"プレーヤー"及びそれを取り巻く多様な人材を
育てることを理念とした。
1)サッカーの生活化
・日常生活にサッカーが無理なく位置づけられる
・シーズンが明確になる
・3年間の高校生活の中にサッカーが無理なく位置づけられる2)定期的な試合の場の確保
・誰もがゲームに参加できる
・練習への動機づけとなる
・「リーグ戦」が経験できる3)レベルに応じた受け皿づくり
・同程度の相手と切磋琢磨できる
・レベルやニーズごとの受け皿がある4)サッカーをささえる人材の育成
・「スポーツの主人公」を育てる
・ピッチを取り巻く多様な人材を育てる
その結果、人数の多いクラブからは複数チームの
参加が可能だし、逆に複数クラブからの連合チー
ムでもかまわないとのこと。
試合の際に必ず大人が付添うことと、審判が確保
できる(高校生が笛を吹くことを奨励している)こと、
そして大会参加費を支払うことで、各チームは、
リーグに参加にすることができます。
今や、足立区、中央区も参加し、上位リーグとして
Eリーグも設立され、DUOリーグは1部2部あわせて
30チーム参加しているとのこと。
良い試みだと思う。
ぜひ、他の地区、他の競技にも広がって欲しい。
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コメント
いいですねー!
自分も高校時代は校外で応援しかしていた覚えがないのでこういう試みは嬉しいです。
自分の友人で「ただ練習するだけの生活に疲れた」といって帰宅部になってサッカーも嫌いになってしまった人がいるのでどうにかならないかな?と思っていました。
恐らくそれでサッカーを離れた人も多いと思います。
こういう試みが全国に広がるように願っています。
投稿: hiro | 2006/05/02 10:54
hiroさん、コメントありがとうございました。
>「ただ練習するだけの生活に疲れた」と
>いって帰宅部になってサッカーも嫌いに
>なってしまった人がいる
そうなんですよね。
サッカーだけではなく、団体競技の場合は、
ずっと補欠で嫌になってしまう人って、
結構多いのですよね。
それに対して、欧州的クラブシステムを過
剰に持ち上げる人も評論家などにはいます
が、一方ではクラブは各年代で一軍に入れ
ない人は、やめさせられます。
で、それで、ショックを受けて、あるいは
嫌になって、スポーツ自体をやめてしまう
人も現れます。
(俊輔みたいに、ナニクソと高校の部活に
チャレンジする人もいるが)
だから、クラブにしろ、部活にしろ、改善
点はあるんだと思います。
一度、ちゃんと考えたいと思います。
投稿: 六甲びと | 2006/05/09 23:42