わずか高速道路2kmで救える難病患者たち(2)
幸い、特定疾患治療研究事業の対象疾患からのパーキンソン病及び潰瘍性大腸炎の「適用除外」は見送りとなった。
しかし、昨今の政府の他の施策、例えば障害者自立支援法なども見ていると、下手すれば、またぞろすぐ、適用除外の疾患を拡大し、難病への医療費補助を縮小するという動きがおこりそうに思えてしまう。
財政再建のために、それだけ問題になっている、特定疾患治療研究事業の年間の公費負担総予算額は、約240億円とのこと。
また、障害者自立支援法の下での自己負担・応益負担の導入で、節約できる税金は、こちらも年間250億円程度だとのことだ(ある政治家の国政報告会での発言からのメモです)。
この240億円、250億円という金額は、絶対額として見れば、たしかに大きなものであり、きわめて厳しい財政状況の中で、もちろん無視してよいものではありません。
でも、一方では、多くの政府地方位自治体の浪費を見ていると、もっと他にこの金額を捻出する方法はあるのではないだろうか、という疑問も起こってきます。
よく批判の対象となる高速道路ですが、「国土開発幹線自動車道建設会議」とやらの資料を見てみますと、例えば
■第二東海自動車道(第二東名のことのようです)
海老名南JCT~秦野 21km 6,562億円
秦野~御殿場JCT 33km 5,056億円
■東関東自動車道 水戸線
三郷南~高谷JCT 16km 7,055億円
鉾田~茨城JCT 17km 387億円
■近畿自動車道名古屋神戸線(第二名神のことのようです)
四日市JCT~菰野 14km 1,437億円
菰野~亀山JCT 18km 1,798億円
大津JCT~城陽 25km 3,225億円
城陽~高槻第一JCT 14km 4,996億円
高槻第一JCT~神戸JCT 40km 7,133億円
となっています。
道路公団民営化にあたって、建設工事の単価を見直しを行い、総額費用はそれこそ1,000億円単位で圧縮し、節約をしているので、その部分の努力は認められない訳ではありません。
しかし、それでも、ひどいところ(海老名南JCT~秦野)では、整備単価1km当たり300億円です。
つまり、この区間の高速道路を1kmを整備するのと同じ費用で、特定疾患治療研究事業の年間の公費負担の全額、あるいは障害者自立支援法で障害者の方に自己負担を求めて節約する金額は、軽くおつりが来る計算になります。
政府や地方自治体は、厳しい財政状況の中、このような異なる行政領域の支出を比較した上で、「あれかこれか」の選択をすることが求められています。
残念ながら、高度成長期のように、「あれもこれも」の大盤振る舞いはできません。
各省庁ごと(場合によっては自分の所属する局や課)の実績予算を、他の省庁に持って行かれることを、もっとも恐れる役所の抵抗を振り切って、今の日本やそれぞれ地域の住民のために、何が必要かの優先順位を考え、判断するのが政治に求められる仕事だと思うのです。
その際、やはり、命に直接かかわる分野を優先し、しかもなるべく多くの人に波及する分野こそを優先して欲しいと、わたしは思うのです。
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