スポーツビジネスが各国に占める割合から、放映権料を考える③
例えば、
Jリーグとイングランドのプレミアリーグについての収入比較(P41)ですが、Jリーグが発足した1993年には、Jリーグが366億円だったのに対して、プレミアは400億円とほとんど拮抗していました。
それが、10年以上経った2005年には、Jリーグが661億円に対して、プレミアは3200億円と大きく差が広がってしまったことを指摘しています。
また、日本のプロ野球(NPB)と、アメリカのNFL、MLBの収入比較もしています。(P39)
2001年には、NPBが12チームで1000億円だったのに対し、NFLは32チームで4600億円、MLBは30チームで4100億円。
ですから、1チームあたりの平均収入は、NPBの約83億円に対し、MLBが約137億円、NFLは約144億円と、2倍以内、思ったほどの差はありませんでした。
しかし、2006年(予測)では、NPBは、わずか100億円の伸びで1100億円、1チームあたり約92億円、一方、NFLは8000億円、MLBは6000億円と、大きく収入が伸びており、その結果、1チームあたりの250億円、200億円と、ついにNPBの2~3倍となりました。
大坪氏は、これらの現状を、日本のスポーツ組織の、権利を現金化する力、稼ぐ力、換金力が不足している、という言い方で指摘をしています。
そして、日本のスポーツ組織が稼ぐ力を高めるための参考として、欧州のサッカー、そしてアメリカのNFL、MLB、NBAの事例を簡潔に、かつ分かりやすくまとめています。
ですから、日本のスポーツビジネスに関する問題、つまりプロ野球の現状に対してきちんと批判したい、逆にプロ野球ビジネスの再編を前向きに考えたい、Jリーグを世界に通じるリーグにするためのビジネス面での可能性について考えたい、などと思っていらっしゃる方にとっては、入門書的に使える、かなり参考になる本ではないでしょうか。
野球批判派の代表格としての「日本の国民的スポーツは野球か?それともサッカーか?」の最新エントリーにTBしておきます。
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