サッカー日本代表は、一般論ではなく、個別具体的なチーム作りを
前回、「やったろうやないか、ベスト4」の心意気ということで、目標は良い、とは書きました。
なら、岡田監督の今のままのチームで、満足しているのか、というと、当然、まったくそういう訳ではありません。
というか、岡田監督は、曲がりなりにも口にした「ベスト4」という目標に対して、今のままの延長線上で行けると、本気で考えているのだろうか?と、大いに疑問であり、大不満であります。
まず、今の日本代表は、他のどの地区と比べても、北中米と並んでぬるいと言われるアジア地区最終予選を2位でしか突破できなかった程度のチーム力であることを、きちんと受け止めなければならない。
そして、直近のチーム力を見ても、今回の東アジア選手権緒戦、アジア地区予選敗退(それも、最終予選に出れずに)し、2014年に向けてチームをつくりはじめたばかりの中国に対してすら、ホームで0-0、それも、圧倒して雨あられのシュートを浴びせながらも運に見放されてのノーゴールといった内容ではなかった。
(香港戦は、まぁ、参考にならんでしょ)
それが、今のチーム力である。
「ベスト4」に到達するためには、どう考えても、運も含めて、極限までいっぱいの爆発的なのびしろ、感覚的に言うと30%、40%増しくらいにしなければ、無理であるのは、誰の目にも明らかである。
にもかかわらず、インタビューなどで、岡田監督や選手の口からは、本大会に向けては、あとは、精度を上げていく、熟成していく、ということを言う。
しかし、精度を上げただけで3割、4割なんて力は伸びるものではないだろう。
また、日本人のチーム競技で熟成させると言うと、だいたいが、今、やっていること、できることを、より確実にできるようになるという、「小さくまとまる」方向へ行ってしまいがちであり、爆発的な伸びを生み出す方向性にはつながりにくい。
だが、繰り返し言うが、日本程度のランクの代表チームが、ワールドカップで何かインパクトを残すためには、ましてや「ベスト4」まで狙うなら、単に「良いチーム」程度ではない、大胆なチャレンジをするしかないではないか。
正直、選手やチーム構成、戦い方を総とっかえするくらいの覚悟でなければ、大幅な伸びしろは考えられない。
もちろん、大コケする可能性もあるだろう。
しかし、今から守りに入って、安全策、確実性を重視して、何になるというのだ!
ということで、以下のようなことを考えてみた。
まず、「ベスト4」に行くためには、大前提として、グループリーグを突破しなければならない。
そして、このグループリーグは、対戦相手は、カメルーン、オランダ、デンマークの三カ国に、もう決まっているのだ。
この当然のことを、もう一度よ~く考えるべきではないか。
その際、どうも、日本での言説では忘れられがちなのは、サッカーは、大前提として、対戦ゲームだという当たり前のこと。
そして、対戦ゲームの肝、つまり、おもしろいところ、そして難しいところは、相手あってのこと。
だから、まったくタイプの違う、この3チームに対して、オシム前監督の「日本化」したチームを、岡田監督流に引き継いだ(らしい)、喩えて言えばオランダ+スペインの縮小コピーのような、ひとつの同じ戦い方で戦ってどないするのだ?と思う。
自分たちのプレーができれば良い、などというのは、対戦ゲームとしては、下の下の線だ。
もちろん、フィギュアスケートの浅田真央であれば、「自分の滑り」が完璧にできれば、獲得できる得点は計算でき、もしかしたら金メダルも狙えるかもしれない。
モーグルの上村愛子であれば、「自分の滑り」が完璧にできれば、これも、獲得できる得点はある程度計算でき、メダルに届くかもしれない。
スピードスケートの加藤条治や高木美帆、岡崎朋美でさえ、「自分の滑り」か完璧にできれば、タイムがある程度想定でき、順位は別にして、納得いくかもしれない。
しかし、対戦ゲームで、相手に勝つためには、どれだけ、徹底して、相手の嫌なことをやり続けられるのか、相手の裏をかけるのか、相手の得意なプレーを消せるのかだ。
例えば、プレミアリーグで一般論的に「良いサッカー」をしているアーセナルですら、マンUやチェルシーには歯がたたなかった。
日本レベルで、一般論での「良いサッカー」をしても、カメルーンはまだ可能性はあるかもしれないが、オランダはもちろん、デンマークにすら、互角には戦えないだろう。
つまり、もはや、一般論で、どんな試合をすべきか、プレーをすべきか、という段階ではないのだ。
具体的に、カメルーンに勝つためには、どうするのか?
具体的に、オランダと引き分けるためには、どうするのか?
具体的に、デンマークに最低引き分ける、できれば勝つためには、どうするのか?
ここに徹底的に焦点を絞って、どういうチームで、どういう戦い方をするのか、ここに集中すべきではないだろうか。
その際には、相手を分析する以上に、相手が苦手とするチームのプレーを分析しするというのはどうだろう。
例えば、カメルーンに対しては、アフリカ選手権で3連覇を果たし、今大会でもカメルーンにも勝ったのをはじめ、いわゆるブラックアフリカに絶対的な強さを示しているエジプトのプレーを参考にして、戦い方を考えてみると言うようなことだ。
具体的には、守備面では、まず、エトゥーをとにかくいらだたせる。
前からやみくもにプレスをかけるのではなく、いったんがっつり引いて、DF+MFでブロックをつくり、前でのスペースを与えず、うしろで少々回されても良いから、エトゥーに入るボールにとにかく集中して、はねかえし続ける。そして、ボールがもらえないエトゥーが中盤に下がらせることを目標とする。
一方、攻撃に関しては、カメルーンDFは、90分間の集中は続かない。絶対に、何回かポカは出るから、それが起こる確率を高めるプレーを組み立てるべきだ。
ボールを奪ったら、DFの裏とか横のスペースに届かなくても良いから、ちびっこFWが走り込み、そこに速いグラウンダーのボールを入れ続けるような。
(もちろん、もっと違う戦い方もあるでしょうが)
そして、それを実現するためには、一般論としての先発11名+スーパーサブにバックアップの12名での23名を選ぶのではなく、極端な話、ターゲット優先順位の高い、カメルーン戦の戦術戦略にあった11名と、デンマーク戦の戦術戦略にあった11名+第3GKで23名を選ぶ(オランダ戦は、カメルーン戦の疲れ具合+デンマーク戦へのコンディショニングで、11名選んで、亀試合する)くらいの割り切り、リアリズムでいいのではないだろうか。
その結果、カメルーン戦とデンマーク戦には使える場面がないからということで、例えば、中村俊輔がはずれるくらいのこともあってよいではないか。
え?
日本らしさを、徹底的に追及すべきだ。
日本スタンダードを、作り出すべきだ。
日本スタイルを、追い求めるべきだ。
だって?
何を言うか。
結果を残せない、スタンダード、スタイルなんかない。
どんな国、どんなチームも、先にスタイルがあった訳ではない。
ある程度の結果を残した時に初めて、そのスタイルが、その国、そのチームにとっての、スタンダードになる訳だ。
だから、今の日本は、とくかく結果を出すことが大事。
個人的には、日本スタンダード、日本スタイルは、一つの戦い方のパターンを極めるということではなく、とにかく相手を徹底分析し、相手ごとにガラリとその装い、戦い方を変える、忍者スタイル、カメレオンスタイルのような方が良いんじゃないかなぁと考えてはいますが。
TB先>
スポーツ見るもの語る者 ~フモフモコラム さん
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