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2010/05/29

そこに希望はあるのか、男子サッカー日本代表(その2)

(その1)からの続き

いくつかの、楽観的というか、前向きな評価をされている、ブロガー、論者の方は、例えば以下の方です。

プロパガンダファクトリー」の党首さん、この方はとにかく、その観戦量があらゆるスポーツについて半端じゃなく、サッカーについても、ユースから、大学、JFLも含めて、とんでもない試合数をご覧になっている。試合の見方についても、過去の観戦記などが、かなり納得させられるものが多い方です。
というような観戦巧者の方であるだけに、今回の日韓戦について、どんな評価をされているか、興味がありました。

前半は韓国が1点リードして折り返しとなる。
失点後は日本が良かった。
韓国に決定機を作らせていない。
守備組織が機能していた。

観客の失望を誘う試合展開である。
ただ選手一人一人を追えば「収穫」もあった。

長友佑都のプレーは感動的だった。
朴智星とのマッチアップで完勝

日本の守備は十分だったと思う。

日本はプレスの連動性、バランスが大きく改善している。
「無理に突っ掛けて裏を取られる」悪弊も見られなかった。

おおまかには、上記のよう評価をされておいでだ。長友だけではなく、大久保も評価しておいでで(この点については、ヴィッセルサポという贔屓目もあると思うが、私も同感)、あとは本田+岡崎のケミストリーを望んでおられる。

この試合についての、(あえて探し出す)プラス面については、ある程度共感できるのですが、今年に入ってからの遠藤、中村俊両選手の劣化(私は、コンディショニングができれば1年半前の彼らに戻る状況ではなく、残念ながら、加齢にともなう下降線で、復活はないようにしか思えない)という、現状の日本代表の決定的な問題点について触れていない点では、戦評としては、どうも納得いかないなぁという感じではあります。

特に、自ら負け惜しみとおっしゃっていますが、

韓国が言うほど良かったとは思わない。

という相手に、結局、得点では完敗。内容としても、甘く見て五分五分、現実的に見たら四分六分だったってことは、本大会に向けて、それじゃあかんじゃん、という気もしないではない。
ううむ、せっかくの党首さんのお言葉でも、ポジティブになるためにはまだ不足であります。

続いて、ポジティブ評価をされている方は、“不毛の時代”からサッカーファンであり続け、サッカーファンの間ではよく知られ、一目も二目もおかれている武藤文雄さん。
武藤さんは、とにかく、岡田武史という人には、人一倍思い入れを持っているらしく、正直、かなり無理筋にも思える筆致で、現日本代表を擁護しておいでだ。

昨日の試合そのものは、「ワールドカップに向けて」非常によい経験を積むことができた有益なものだった。

として、結果以外は成功だったと評しておいで。

今回の韓国が強かったため、多くのことを学べた試合であり、そこが

守備は几帳面であるに越した事はない。イングランド戦、コートジボワール戦で、もっと稠密な守備を見せてもらいたい。

という風に修正できさえすれば問題なく、そして、岡田監督ならできるはずだと言う信念をもっていらっしゃるようです。

ですが、今の私には、最終予選から昨年の後半の親善試合、そして今年に入っての試合を経ての、チーム全体としての課題に対する岡田監督はじめとするコーチ陣の修正能力の乏しさをふまえると、今回の試合でも露呈した問題点が、あと3週間では、とてもじゃないが改善されないまま本番にも出現してしまうだろうという不安しかありません。

「修正できる」という武藤さんの評価の根拠が「岡田監督だから」ということであるのならば、私にはとても共有できないのですよね・・・。

というよりも、試合当日の武藤さんのエントリーにある

日本がワールドカップで戦うためには、他国よりも運動量で上回り、粘り強く集中して守り、それを基盤に技巧を活かし、変化をつける工夫をする事に尽きる。 運動量が足りない、集中した守備ができていない。レギュラがどうしたとか、采配がどうしたとか、それ以前で負けているのだ。1年前にできていた事すらできずに。

という方が、実は、武藤さんご自身にとっても、リアルな評価なんではないかなぁ。そんな中でも、思い入れある岡田監督を信じたい、擁護したいがために、無理から前向きに評価してみた、ということなのではないかなぁ、と思えてしまいます。

ううむ、武藤さんのエントリーを見ても、まだ、ポジティブになりきれません。

次に、「サッカー蟻地獄」の隊長さん。

絶望したり、全否定したり、そういう試合ではないはずだ。内容を冷静に見ると、過半の時間で優位だったと言うことは出来よう。

ううむ、「過半の時間で優位」というのが、私とはまったく違う評価なんですよね。早い時間帯に先制した韓国が、ペースダウンするのは当然であり、たしかに、日本がボールを保持していた局面もありましたが、韓国が危機感をもって対応しなければならないシーンはほとんどつくれず、余裕をもっていなされたとしか思えなかった。絶望とか、全否定とまでは言いませんが、何か、明確なポジティブな部分を見出せるかというと、そんな部分は少なかったというのが冷静な評価でしょう・・・。

0-1から攻めまくって0-7で負けても、次への糧だと割り切った広島サポの方がよっぽど腰が据わっている。

なのに、結果として、日本代表はダメだという論調になっているのは笑える。どんだけ一喜一憂してるんだw

いえ、多くの人(私も含めて)は、この試合だけで一喜一憂している訳ではありません。少なくとも、今年に入ってからの強化プロセス、試合内容をトータルで見て、現状の男子サッカー日本代表に対してネガティブにならざるを得ず、乾坤一擲、この試合で、なんとか改善されたというポジティブな部分を見出したいと思ったにもかかわらず、改善があまり見られなかったことに、改めて失望している、ということです。残念ながら・・・。

岡田監督は韓国がベスト4に入った夜、泥酔してホテルのドアで前後不覚のまま気を失うくらい、韓国に対して強い対抗心を持っているというのはよく知られる ことだ。韓国との対決にここまで考える監督がいただろうか

ということから、武藤さん同様、岡田監督に対して、信頼をしておいでのようなのですが、それであるならば、よりいっそう、この3ヶ月の間の対韓国ホーム二連敗なんて事態を出来したことに対して、厳しい評価をするべきだと思うのですが・・・(私は、韓国に対する二連敗という結果よりも、今年に入ってからの内容のひどさこそが問題だと思っていますが)

と言いますか、もし岡田監督がその“熱い気持ち”とやらを持っているとしても、その気持ちから掲げた目標を現実化できる能力があるかどうか、という点だけが、今問題にされていて、多くの方が、残念ながら、今の岡田監督の能力に疑問、いや赤点をつけているだけだと思うのです。

もっと、激しい岡田監督擁護をしているのが、サッカー評論家の湯浅健二

もともと、その独特の言葉遣い、言い回し、さらに評価の前提となるチームや選手の好き嫌いが極端で、毀誉褒貶の多い方ではあるのですが、ううむ、今回はさすがにひどすぎないですかね。

最初やられまくっていた日本代表が、徐々に「闘うエネルギー」をアップさせていったという事象

えっ? 早い時間に得点を奪って、フルパワーから落として、余裕をもちながら、要所要所の球際の競り合いではガッと寄せると言う、メリハリをつけていたから、なんか、ちょっとは盛り返したように見えただけじゃなかったのかねぇ。

稲本潤一をアンカー(≒前気味リベロ)に、その前に、中村俊輔と牛若丸、遠藤ヤットと長谷部誠という最高の守備意識を持つ「才能あふれる」ダイナミック カルテット

をお薦めらしいですが、この試合(と言うか、少なくとも出場している今年の試合)を見て、中村俊、遠藤が、「最高の守備意識を持つ」と評価できる、その目が信じられません。いや、たとえ意識を持っていたとしても、現実のプレーーとして有効な守備を実行できているかどうかが問題にされるべきなんじゃないのか。

正直、こんな、荒唐無稽な文章で擁護されたら、逆に、不信感の方が高まると思うのですが。
今の岡田監督下の日本代表に対して、基本的に肯定的な姿勢であるにしても、アカン部分はきちんとアカンと言わないと、贔屓の引き倒しとしか思えないんですが。

しかも、一方では、本田圭にだけは、誹謗といえるほど、厳しいことを書いている。

ブレーキは、やはり本田圭佑だったネ

本田圭佑のところで組織パスのリズムが「中断」してしまうことは言うまでもない。

現実は、まさに『前戦のフタ』だからネ。

本人も試合後のコメントで自分のプレーの出来に不満だったと言っているように、決して良い出来ではなかった。
しかし、この試合でブレーキと言うのであれば、このチームで求められる役割をまっとうにできなかった中村俊輔、遠藤の両選手以外にないであろう。
後方の比較的プレッシャーの薄い場所で、何でもない短いつなぎのパスでミスが目立った遠藤や、プレッシャーをかけるべきシーンでも接触プレーをほとんど行おうとしなかった中村俊輔のプレーを、きちんと批判しなければ、片手落ちでしょう。
もちろん、彼らに関しては、意識以上に、コンディションの問題(加齢による劣化も含めて)が多いと思うのではありますが。

意識ということで言うのであれば、この試合で戦う意識がプレーから見えたのは、長友、長谷部、大久保、本田の順じゃなかったですかねぇ。

まぁ、あげくの果てに

このところ、本田圭佑がメディアで注目されているらしい。マスメディアは「分かりやすいスター」を作り上げたいのだろうけれど、あまり「事実無根の 持ち上げ」をしていると、ドイツワールドカップのときの二の舞になるよね。そして我々ジャーナリストが、現地まで応援にきた日本のファンの方々に罵倒される。
 「アンタたちは知っていたんだろ!?・・日本の実力の現実を・・それでも、我々を惑わすような希望的な報道をするんだ・・それって詐欺じゃネ~ かっ!・・」

なんだそうです。いや、ドイツ大会の時の「日本代表」全体の底上げ評価と、今回、何とか希望の光を少しでも探したいという中での本田押しは、ちょっと意味が違うでしょう・・・。

というか、プレーした選手たち自身が、ひどい試合だったと認めているんですから、少なくとも、この試合の内容に関しては、きちんと課題を抽出するという批評ができないといかんのじゃないですかね。

ということで、いくつかの今回の日韓戦、あるいは現状の岡田監督指揮下の日本代表の、プレーやゲームに対してのポジティブな見方を見てきたのですが、正直、その内容については、残念ながら、まだ、納得するにまでは至っていません・・・。
もちろん、応援するのは当然なのですが、今の代表の状況に対して、心の底から素直に応援できるような、そこまでの信頼、信用を置けるようにまで、岡田監督への見方や評価が変わるまでには、至ってないんですよね・・・。

ということで、最後は、そんなシビアなプレー批評云々ということではなく、スポーツ観戦には本来欠かせないはずのユーモアをもって、スポーツ愛とセンスあふれる文章でつづってくれている、おなじみのフモフモさん。

グループリーグ3カ国に、日本のスカウティングをさせない(しなくても、別にいいやと思わせる)ための油断を誘うための死んだふり三味線試合を繰り返す高等戦術という見方は、もちろん冗談ではあるのですが、なんか、力の入りすぎている肩の力を抜くために、なんかほっとする感じではあります。

 

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