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2010/06/26

日本サッカー史上最高の一戦で、“世界を驚かせる”グループリーグ突破

1日明けても、まだ余韻が残る、FIFAワールドカップ2010南アフリカ大会グループEの最終節、日本対デンマーク戦。

正直、この一戦は、日本サッカー史上最高のゲームだったのではないだろうか。

今までの日本代表の(勝った方の)名勝負と言えば、古くは、後藤健生さんはおろか、中条一雄氏や賀川浩氏ですら見ていないであろう、伝説のベルリン五輪のスウェーデン戦(3-2)や、メキシコ五輪の3位決定戦メキシコ戦(2-0)があげられることが多かった。
そして、近年のものでは、FIFAワールドカップ2002日韓大会のチュニジア戦(2-0)。さらに、大会全体として、2000年のアジアカップのゲーム(グループリーグのサウジアラビア戦4-1や、準々決勝イラク戦4-1など)ももちろんすばらしかった。
(1996アトランタ五輪のブラジル戦やハンガリー戦、1999ワールドユースも素晴らしかったが、年齢制限ありだっただけに、残念ながら同列には並べられない)

しかし、この一戦は、大会のグレード。試合を迎える状況(2002のチュニジア戦は、相手が勝ち抜けほぼノーチャンスだっただけに抵抗が少しゆるかった)。戦う相手のグレード。試合全体の内容。個々の選手のプレー内容。そして、実際の点差も含めて、おそらく、日本男子サッカー史上最高の内容と結果と言っても良かったのではないだろうか。

もちろん、前半の立ち上がりに、デンマークの布陣(特に、トマソン)に対応しきれずに、バタバタしているシーンもあった点を、あそこで先制されていたら、どうなっていたかわからなかったとも批評できるだろう。特に、トマソンのシュート(及び、シュートのし損ない)のうち、一本でも入っていたら・・・。

しかし、そこで、最後の一歩、相手(特にトマソン) に詰めて、プレッシャーをかけていたのは間違いない事実だし、立ち上がり10分程度で、相手の布陣に、選手が、そして監督コーチ陣もすばやく対応したのも事実だ。

何より、そのような立ち上がりのデンマークの時間帯が続いていた中でも、大久保⇒松井や、松井⇒長谷部とチャンスもつくっていた訳で、選手たちも、少々混乱はしつつも、準備期間の親善試合で見られたような守る方向での、マイナスの方向への連鎖反応ばかりではなく、チームとして攻める戦う姿勢をもち続けていたことが、耐えられた一つの要因だったのだろう。

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さらに、流れの中で点が取れないと言い続けられてきた男子サッカー日本代表にとっては、逆に「流れの中で、相手の深い陣でフリーキックのチャンスを得て」、そこからのフリーキックで直接ゴールを決めるってのは、それらの批判に対する一発回答!という感じで、素晴らしいの一言。

デンマークと言う十分強豪と言える相手に対して、前半の立ち上がりを除いては、デンマークのやってくることは、想定済みであったかのように、試合全体を通じて、堂々と立ち向かい、堂々と打ち破った。

正直、このような日本代表を想像はしていなかった。いや、想像はしてみたが、それは、例えば、「一素人が、戸田恵梨香(いや、綾瀬はるかでも誰でもいい)と付き合う」ことを想像してみたというようなレベルの妄想だとしか思えなかった。リアルに考えれば考えるほど、可能性が低いとしか思えなかったのだ。

かろうじて、

初戦に関しては、淡い期待はもっておきたい。そして、初戦が、内容は別に、結果が出れば、一気に流れが変わる可能性もあるとだけは信じたい。

とは思っていたけど、本当に、ここまで流れが変わるとは…。

と言うことで、岡田監督含むコーチ陣には、もう謝る以外ない。(ネット上でも、「岡ちゃん、ごめんなさい」がブームになっているようだ…)
「ごめんなさい」

オランダ戦の段階ですら懐疑的であったのだが、もうこれは認めます。

まず、ばくちとしか言いようのない初戦の泥縄のメンバー選考。
下馬評から言えば、別に全敗でも仕方がないと悪い方へ開き直ってしまえば、別に無理せずに事なかれ的に、いつものメンバーで、いつもの戦い方もやれた訳だ。
しかし、岡田監督含めスタッフは、間に合わないかもしれないが(いや、間に合うと確信していた。自信があったのだろうか?)、それでも、最後まで、結果を得るためのあがきを見せてくれた。
結果オーライ(内容は問わない)とは言え、その勇気は、今から思えば、あそこで、ばくちを打てるというのは、すざまじい胆力だったのか。

そして、オランダ戦。
デンマーク戦に余力を残すために、メンバー落としもあるかと思っていた。
しかし、よく考えれば、主力メンバーを落として、体力を温存していたとしても、カメルーン戦の出来内容では、主力にすら、本当の意味での自信は得られていなかっただろう。
同じメンバーを使うことにより、強い相手と真剣勝負で戦うことでこそ得られる、チームの熟成を促したのだろうか。
しかも、結果としても、デンマークに対して、有利な条件を確保する、最良の負け方まで得た訳だ。

そして、デンマーク戦。
今までうまくいっていた布陣を変えたことによって、前半の立ち上がりにピンチは招いたものの、すでに選手たちはこの二試合で変わっていた。少々のことには動じない、自信と謙虚さを高いレベルで両立するプレーを見せてくれた。
そのような選手の状況をつくりだした大きな要因は、岡田監督含むスタッフの、プロセスマネージメントでもあった訳だ。

もちろん、4年単位(岡田監督で言えば、2年半)で見た時の準備は、もっとましなやり方はあっただろとも思うし、次大会では、同じようなことは繰り返してほしくはないのだが、この1ヶ月、いや2週間の手腕はみごとだった。

すべて、計算通りだったとは思わない。
かなりの部分、運にも助けられた部分はあったかもしれない。
しかし、この1ヶ月ほどのあまりの低迷からの信じられない好転が、単なる偶然だったとも思わない。

偶然を必然にしただけの何かが、選手たちにはもちろん、岡田監督含むスタッフ陣にもあったのだろう。

最後に、ふたたび「ごめんなさい」

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