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2010/08/19

総括(その3)【否定派】例えば、木崎伸也の言説には、呆れてしまう

と、私の評価をまとめてみたのですが、「否定派」の人々は、どうも違うようです。

事前の準備段階で、岡田監督のことを批判している人は、「ハエプレス&ポゼッション」では、とても本大会では勝てないから、早くリアリズムに徹しろ、と言っているのだと、私は思っていました。

ところが、違ったようです。
「弱者の戦術」であるリアリズムなんかではなく、「ハエプレス&ポゼッション」をもっと徹底して、「日本らしい」「見せるパスサッカー」をするべきだった、と言っているようです。

え、え~??

今の日本サッカーに、それを要求しますかね?

例えばですが、それが極端で、ひどすぎるのが、木崎伸也のJ-CASTニュースでの記事

>岡田武史監督がとった戦法は、守備を固め、相手のミスを待つカウンター狙いでした。いわば弱者の戦い方です。直前の親善試合で負けが続き、それでもW杯を勝ち抜くため、本来目指していたパスをつなぐ攻撃的なサッカーから失点しないことを重視する守備サッカーへ切り替えました。

>直前の親善試合で負けが続き、それでもW杯を勝ち抜くため、本来目指していたパスをつなぐ攻撃的なサッカーから失点しないことを重視する守備サッカーへ切り替えました。

えっと、「いわば弱者の戦い方」という言い方で、なんか、非難がましく言っていますが、どう考えても、日本って「弱者」でしょ。
「弱者」が「弱者の戦い方」したら、どうしていけないのでしょうか?
「本来目指していた」攻撃的サッカーが機能しなかったから、より、勝負に持ち込める確率の高いプレースタイルの変えることの何が悪いのか、まったくわかりません。

それに、

>守備を固め、相手のミスを待つカウンター狙いでした。

>14年前、アトランタ五輪のグループリーグ初戦で日本がブラジルを倒した試合(=マイアミの奇跡)がありました。実はこの時も、守りを固め、相手のミスを待つサッカーでした。
   だから、14年前にもできた戦い方を今回も繰り返したと思うと、正直なところ、14年間の日本の積み重ねはなんだったのか、とも思いました。

って言っていますが、この人、本当に、今大会の男子サッカー日本代表の試合見ていたんですかね?
たしかに、カメルーン戦の終盤のように、かなりドン引きになり、そこにいるけど見てるだけのような状態になっていた時間帯はありました。
でも、オランダ戦でのスナイデルやデンマーク戦でのロンメダールらへの阿部や長谷部のプレッシャーとかが守備シーンの中心であり、守備ブロックは後ろに設定したものの、いったん自分のゾーンに入ってきたら、激しくプレッシャーを能動的にかけに行くというもので、結構アグレッシブな守備やっていましたけど。
正直川口のスーパーセーブのオンパレードだったアトランタの際のブラジル戦とはまったく異なる内容だったでしょう。

というか、この人の頭の中では、守備のシーンが多い=守備的ということなのでしょうね。
しかし、ポゼッションで負けてしまえば、どうしても相手ボールに対峙するシーンが増えるのは仕方がないでしょう。
結果的に、守備の時間が多くなったというだけのことで、それだけで単純に「守備的」(その前に「守備的」という表現の定義から必要ですがね)ということではないと思うのですが。
そして、守備のアクションがアグレッシブかどうか、ということは関係ないと。

さらに、

>―日本が今後、W杯ベスト16以上を目指すにはどうすべきでしょうか。

って質問には、

>木崎 オランダ出身の指導者フース・ヒディンク監督や現在はスペインリーグで指揮を執るジョゼ・モウリーニョ監督に代表される、勝つ確率を高める戦術志向のサッカーを目指すべきだと思います。

えっと、この大会で、日本代表がやったことこそ、「勝つ確率を高める戦術」的なサッカーだったと思うんですが、
違うというのですかね?
だいたい、勝つ確率の高め方なんて、相手との力関係によって、まったく変わってくるし、その前に各国代表の人的資源のあり方によって、まったく変わってくるのですがねぇ。
正直、相手に関係なく、「自分たちのやりたいサッカー」とやらを貫くしかないかったナイーブなサッカーしかできないよりも、相手との力関係を考えて、相手の良さを消しながらしっかり守って、カウンターやセットプレーで点を取るという今回の日本代表の戦い方は、ゲーム戦術を駆使した、大人なサッカーだったと思いますが。

で、そういた口の乾かぬうちに

>優勝国のスペインが見せた攻撃的なパスサッカーに挑戦していくべきだと思います。

って…。

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まず、モウリーニョの名前挙げておいて、何がパスサッカーだよ。
もう、ここらへん、めちゃめちゃだよ。
もちろん、モウリーニョクラスになると、相手との力関係では、ポゼッションをベースにショートパスも絡めて、きちんとつないで、フィニッシュの数を増やす、いわゆる「パスサッカー」だってできると思うが、基本はローライン設定で自陣に入ったあたりでのプレッシングを基本にした、コレクティブカウンターの人でしょ。
せめて、グアルディオラの名前を挙げて言うんだったらまだしも。

本人の中でも、まったく一貫しておらず、ただただ、今大会の日本代表、というより岡田監督を否定したいだけの語りでしかないですね。

さらに、こいつのもっとひどい言説として、

>一度でもヨーロッパのサッカー大国に住んだことがある人間なら、わかるだろう。日本人選手が勝負から逃げるようなプレーをすると、日本人そのもののイメージが傷ついてしまうということを。

>ミュンヘンで寿司屋を経営する日本人オーナーが、憤慨していたことがあった。
>「ブンデスリーガでプレーする日本人選手は、ドイツに住む日本人全員のイメージを背負っていることをわかっているんだろうか? お願いだから、腰が引けたプレーだけはしてほしくない」

>6年間ドイツに住んでいた筆者も、同じような経験がある。ハンブルガーSVで高原直泰がプレーしていたときのことだ。高原がゴールを決めると、サポーターから優しい声をかけてもらえる。だが、チャンスを外し続けたとき、心無いサポーターから「シャイセ」(くそったれ)と中指を立てられてしまった。

はっきり言う。
そんな連中は、レイシストでしかない。
もし、ブンデスで、イスラエル籍の選手がふがいないプレーを見せた場合に、「ユダヤ人は臆病者」などというドイツ人がいたら(いや、実際に、いるとは思うけど)それは、ユダヤ人側から大反発をくらい、大問題になるだろう。
そんな連中の言葉に、びくびくする必要など、どこにもない。

というか、面と向かってこんな失礼なことを言われて、反論反駁できない人間が、サッカー選手に対して、(外国人選手と)「戦え」やら「自己主張しろ」って言っても、何の説得力もない。

男子サッカー日本代表は、あくまでも、現在日本で現役でサッカーをしている男子選手の代表でしかない。
だから、彼らは、基本的には、サッカーのプレーにしか責任は無い。
彼らに、日本人のイメージだとか何とか言う、そんな、余計な重荷を背負わせる筋合いは、まったくない。
もし、「日本人のイメージ」をリアルに背負わなければならないとすれば、天皇陛下及び皇室の方々を除くと、総理大臣、外務大臣あたりの政治家か、各国駐在の大使あたりでしかない。

また、サッカーくらいしか、国を代表するイメージを持てない小国(それでも、実際には、どんな国も多様な面を持っているのだが)と違い、日本には、世界に誇れる多様な要素がある。
サッカーで、もしイメージが傷ついたとしても(今回の戦いぶりで傷ついたとは、私は思わないが)、それこそ宮崎駿だろうが、パフィーだろうが、村上隆だろうが、松居慶子だろうが、故本田壮一郎氏だろうが、男子体操日本代表だろうが、安藤忠雄だろうが、中村哲氏だろうが、五島みどりだろうが、吉田都だろうが、日本人のイメージを更新できる人たちがいくらでもいる。

サッカーにだけ、そんなことを要求することのおかしさの方に気がつかない鈍感さは呆れるばかりだ。

海外在住での個人的経験をことさら一般化するやり方も、(焼鳥屋ではないが)料理店である寿司屋のオーナーを出してくるあたりも、「金子の弟子」だからというレッテル貼りをされても仕方がないレベルの低い言説といえましょうか。

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あ、あと、この本↓ですが、まっとうなジャーナリズム(そんなもの、日本にはほとんどないのかもしれないが)ならば、せめて、例えば、スイス対スペイン戦とか、スロバキア対ニュージーランドとか、イングランド対スロベニアとかあたりで、各国の報道や実況がどういうことをきちんとひいて、それとの比較で、日本がどう伝えられていたかを語らないと、分析にも何にもなりません。

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