国宝神社の最南端、青井阿蘇神社
先日紹介した霧島神宮から、日豊本線と肥薩線を乗り継ぐと、熊本の小京都、人吉市に訪れることができます。
まあ、最近は、えびの高原経由九州自動車道で行くのが早いのでしょうが、肥薩線はローカル線ならではの風情と、特に歴史のある駅舎が楽しい路線でもありますので、時間に余裕のある方は、ぜひローカル線の旅を楽しんでもらいたいものですね。
さて、今回は、そのローカル線の旅ではなく、人吉市の国宝建築、青井阿蘇神社をご紹介。
JR人吉駅から、日本三大急流で有名な球磨川に向かって、なだらかな坂を下っていくと、こんもりとした森が見えてきます。
球磨川側の正面の石の鳥居をくぐり、蓮池にかかる朱塗りの太鼓橋である禊橋を渡ると、ほぼすべての建築が国宝に指定されている青井阿蘇神社の境内です。
阿蘇神社という通り、阿蘇山をご神体山として、阿蘇山カルデラを中心に栄えた豪族である阿蘇氏の祖である、健磐龍命(たけいわたつのみこと)をまつる肥後一宮を、人吉に入国した相良氏が勧請したもの。
赤い鳥居を抜けるたところに、楼門があります。
三間一戸、屋根寄棟造りですが、特に珍しい点は茅葺きであるということ。
禅宗様式と桃山様式が華麗に調和し、どっしりとした重厚な構えをみせる楼門です。
青井大明神という扁額がかかげられています。
そして、楼門を抜けると、明るい境内が広がっており、その中に、こちらも茅葺の拝殿が。
桁行7間、梁間3間、単層の寄棟造りで、建造物の内部が拝殿・神楽殿・神供所の三部屋に仕切られているのが特徴とのこと。
拝殿の後方に、朱塗りの瑞垣に囲まれて三間社流造(さんげんしゃながれづくり)、銅板葺の本殿があります。
青井阿蘇神社が国宝に指定された理由である、黒を基調に漆塗り、細部の木組みに赤漆を塗り、彫刻や模様は極彩色を用いるとともに各所に装飾が施されている、地方の桃山様式の代表的遺構としての姿が、よくわかりますね。
これらの建築は、人吉藩初代藩主相良長毎により、慶長15年から同18年にかけて造営されたものが、そのまま一群として保存されており、平成20年に重要文化財から国宝に格上げ指定されたという、新しい国宝建築。
また、おそらく国内最南端(九州内では最南端、高知に一件あるので、厳密にはどちらの緯度が低いかな?)の国宝建築でもあります。
これだけの国宝建築が一か所にまとまって存するのは、近畿を除くとほとんどないので、一度足を運ぶだけの価値のある場所です。
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